13回 マンガ部門 講評

審査会は、多くの候補作の中から、5人の審査委員が、賞の対象として推す作品を5作品ずつ挙げ、それぞれの作品の良さをアピールし、議論した。複数の審査委員の評を獲得した5作品が、優秀賞以上の候補として選ばれ、そのうちの1作品を、大賞に推すことになったのだが、それぞれが、多くの候補作から選び抜かれた傑作ぞろいであるため、議論白熱!決め手に欠ける展開となった。そこで、それぞれの作品のマイナス面を議論し合う、いわば審査委員同士の足の引っ張り合いをすることとなった。傑作、名作から、マイナス面を突く議論は楽しいものではないが、そこを一歩抜け出した作品こそが、欠点の少ない作品といえる。こうして、何人かの審査委員が"あまりの王道"と発言していた『ヴィンランド・サガ』が大賞に選ばれた。

プロフィール
永井 豪
マンガ家
1945年石川県生まれ。石ノ森章太郎氏のアシスタントを経て、67年『ぼくら』誌上にて『目明しポリ吉』(講談社)でデビュー。翌年『少年ジャンプ』で『ハレンチ学園』が連載開始となり、たちまち大ブームになる。以後、現在に至るまで、幅広いジャンルの作品を発表し続けている。代表作には『ハレンチ学園』『デビルマン』『マジンガーZ』『バイオレンスジャック』『キューティーハニー』など多数。05年より大阪芸術大学キャラクター造形学科教授。