8回 アニメーション部門 講評

【作品カテゴリ別講評】長編アニメーション・OVA

今回、大賞の選考にあたりついに結論がでなかった。『ハウルの動く城』を推す委員2名、対、『マインド・ゲーム』を推す委員が3名で、2対3ということでもあり、主査裁定で『マインド・ゲーム』を大賞としたが、審査の経過を明らかにすることによって、審査委員以外の方々に審査が公正に行われたものであることの理解を得たい。最終審査は各委員が最終審査に残った14作品に点数をつける方法で行われた。合計点では『ハウルの動く城』が1位、『マインド・ゲーム』は2位であった。点差の理由は『ハウルの動く城』がすべて平均点以上なのに対して『マインド・ゲーム』には最低点評価もあったためである。『マインド・ゲーム』は評価が両極端に分かれる作品で、最高傑作であるという意見と、不快で耐え難いという意見があった。次にそのほかの劇場用作品だが、評価が分かれたため受賞にはいたらなかったがすばらしい作品があり、テレビシリーズにも『妄想代理人』や『サムライチャンプルー』などテレビ用作品の水準をはるかに超える作品が多々あった。日本のアニメーションの水準が確実に上がっているのを感じて嬉しい。

プロフィール
神村 幸子
アニメーター
株式会社サンライズ『シティーハンター』の作画監督、キャラクターデザイン、株式会社東映アニメーション『マシュランボー』の総作画監督、キャラクターデザインなどを務める一方、株式会社ウォルト・ディズニーアニメーションジャパンのアーティスト教育にも携わる。現在、株式会社手塚プロダクションのテレビシリーズ『ブラック・ジャック』の総作画監督とキャラクターデザインを担当している。