9回 マンガ部門 講評

【作品カテゴリ別講評】ストーリーマンガ

今回は何といっても全体の応募数が伸びてきたことが喜ばしい。特にオンラインマンガは前年比275パーセントと、これからの発表形態を示唆するような数字になっている。海外からの応募も年々数が増え、マンガ部門の応募数の約1割が海外からの応募であった。文化庁メディア芸術祭における「マンガ賞」として、世界においても認知度が上がってきたという証明であろう。最終候補として残った作品群も、マンガという分野の間口の広さを示すがごとく、圧倒的な大作から非常にパーソナルな内容のもの、オーソドックスな良さを示すもの、さらには絵画との境目に位置するような作品などが並び、それらが十分に競い合った。世界中からの応募、年齢もさまざま、アマチュアもプロも一緒になって競える「マンガ賞」として、さらに来年の応募数も伸びてほしいと思う。

プロフィール
竹宮 惠子
1950年、徳島県生まれ。 徳島大学在学中、『週刊少女コミック』(小学館)で「森の子トール」を連載開始。主な作品に『地球へ...』『風と木の詩』『イズァローン伝説』などがある。80年、第25 回小学館漫画賞受賞。同年、『地球へ...』が劇場版アニメーション化される。2000年4月より京都精華大学マンガ学科の専任教授に就任。同年秋より大学での研究として「原画' プロジェクト」を発表。03年からはさまざまな作家を招聘した「原画'展」を毎夏、企画開催し、貴重な原画の保存・公開に努めている。06年よりマンガ学部に昇格。12年日本漫画家協会賞の文部科学大臣賞を受賞。