7回 エンターテインメント部門 講評

【作品カテゴリ別講評】VFX・キャラクター・その他

非常に広範な領域をカバーしている部門であったので、コンセプトから表現技法や、その実現形態に至るまで、非常にバリエーションが多かった。動画映像によるものから、立体造形として動くもの、メディアとサービス、書籍、ポスター、玩具、キャラクター商品提案に至るまでが、ひとつのカテゴリーにおさめられたのは、例のないことであったと思う。その幅の広さと雑多さからみるとエンターテイメント部門において、最もエンターテイメントらしい領域と言えるかもしれない。審査においては、オリジナリティ、挑戦性、クオリティーだけではなく、さらに複数の評価軸をたてながら総合的に判断した。エンターテイメント部門なので、とにかく「遊び心」がしっかり感じられ、つくっている人間自身がそのプロセスを楽しんでおり、その気持ちが作品に滲み出ているようなものは、大切に評価された。プレゼンテーションの方法や丁寧さ、分かりやすさも、重要な評価要素にした。本部門の代表作である『スキージャンプ・ペア オフィシャル DVD』は、コンセプトのオリジナリティ、挑戦性、クオリティーも素晴らしいものであったが、なによりも作り手の「遊び心」が群を抜いて素晴らしく、審査会で全員が爆笑してしまった作品は、唯一この作品だけであった。この部門は巨額を投じた大型プロジェクト作品の出品が非常に多かったが、その中で、アイデアと努力があれば、人々を虜にするような作品ができることを実証している。

プロフィール
石原 恒和
1957年生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修了。1995年に株式会社クリーチャーズを設立、その後『ポケットモンスター赤・緑』をプロデュース。1998年、株式会社ポケモンセンター(現・株式会社ポケモン)設立と同時に代表取締役社長に就任。現在は、同ソフトを翻案した『ポケモンカードゲーム』や、テレビアニメ、劇場映画などポケモン全体のブランドマネジメントに携わる。