8回 エンターテインメント部門 講評

【作品カテゴリ別講評】映像

エンターテインメント部門の映像作品は、今年は大変多彩な分野からの応募があった。フルCGのクオリティだけでなく、映像そのものを表現する高い演出力に見るものの心を強くひきつけた『鬼武者3』のゲーム・オープニング映像。CGと実写の融合に作者の詩情が光る『YKK AP EVOLUTION』。この、ほかでは味わえない独特な感覚が評価された作品はなんとCM映像である。そして、どうしても感情移入してしまう素敵なキャラクターを、純朴ながらユーモアあふれるストーリーの中で展開した『あかね雲』。奨励賞を獲得したこの映像はプライベート・フルCG作品。このほか推薦作品にもミュージック・クリップやセルDVD作品といった様々なカテゴリーの映像がならんでいる。デジタル映像技術のもとで、メディアの垣根は消滅しようとしている。エンターテインメント部門の映像作品はここからいよいよ「本当にひとの心に響くのかどうか」という本質的な評価の次元に突入していくのである。

プロフィール
中島 信也
CMディレクター
1959年、福岡県生まれ。年間40本近くのCMの演出を手がける一方で、株式会社東北新社取締役、多摩美術大学教授を務める。デジタル技術を駆使した娯楽性の高いCMで数々の賞を受賞。主な作品に日清カップヌードル『hungry?』(カンヌ広告祭グランプリ)、サントリーDAKARA『小便小僧』、 HONDA『STEP WGN』、サントリー『伊右衛門』など。