10回 受賞作品マンガ部門Manga Division

大賞

優秀賞

奨励賞

審査委員会推薦作品

審査講評

  • 藤本 由香里
    明治大学准教授
    【作品カテゴリ別講評】コマ・自主制作・オンラインマンガ・その他
    毎年順調に伸びてきた応募作品数であるが、今年はコママンガが横ばい、オンラインマンガ・自主制作マンガはほぼ半減するという残念な結果であった。とくに海外からの応募が、今年はわずか2作品と激減している。
    たしかにそのままでは言葉がわからない作品をどう評価するかという問題は残るだろうが、来年はさまざまな手段で広く海外からも出品を呼びかけ、応募数をできる限り増やしていきたいものである。内容的には、自主制作も含めオンラインマンガは、デジタルならではの手法で「ほほう」と思わせるものが目を引いた。しかしいずれも「手法」の提示にとどまり、もうひとつ内容のおもしろさが伴っていないのが残念である。だが一方で地味ながら好感がもてる作品もあり、「オンラインだからカラーで続けられる」という側面もあるのだな、と気づかされた。一方、これも自主制作を含めコママンガでも、CGや動画をうまく使った作品が目立ってきている印象を受けた。新しい才能に期待したい。
  • わたなべまさこ
    マンガ家
    【作品カテゴリ別講評】ストーリーマンガ
    今回は、第10回ということもあり、前年を上回る大変レベルの高い応募作品が多数そろった。最終候補としては、10年の節目の大作にふさわしく、ベテランの骨太な息をのむような作品に満場一致で決定。優秀賞にも、ファンタスティック、癒し系など、さまざまなジャンルの作品が残り、ストーリーマンガならではの表現の豊かさ、発想のおもしろさと間口の広さを感じた。審査の対象外となった作品も、ユニークで力のこもったものが多く、IS(インター・セクシャル)や性同一性障害の世界に正面から取り組んだ問題作などもあり、今後の新しいジャンルとしても期待が大きい。ストーリーマンガの特異なスタイルは、戦後開発された、日本独特の文化のひとつとされている。手塚マンガという太い幹から幾重にも枝を伸ばし、たわわにマンガ家という実をつけた、このストーリーマンガの木の広がりは、可能性という希望いっぱいに、今後も空に向かって伸び続けるに違いない。今回は、海外からの応募が少なかったのが残念であった。文化交流のためにも、その国独自のすばらしい作品で日本マンガと競っていただきたい。文化庁メディア芸術祭も回を追うごとに応募数も増え、喜ばしいことだ。来期もストーリーマンガならではの作品が多数応募されることを願っている。
  • モンキー・パンチ
    マンガ家
    過去最高の応募数を、苦渋を極める選択
    文化庁メディア芸術祭も今回で10回目になる。応募作品も年々増え、過去最高になった。市販されているマンガが約8割以上で、自主制作、オンライン、その他と続く。そしてストーリーマンガは全体の約7割以上となっている。当然だがその約9割はプロのマンガ家による作品である。
    『太陽の黙示録』は各審査員とも最高点で文句なしの大賞となったが、厳選されて最終選考に残った作品群に甲乙をつけなくてはならないのは、もはや審査員泣かせである。すでにベストセラーになっていてオーディエンスから評価されている作品もありながら、今度は審査に携わるプロのマンガ家の目で再評価をし、規定通り受賞作を決めなければならないのは苦渋の選択である。
    そんなわけで心ならずも選に漏れた作品には本当に申し訳なく思っている。次回の再挑戦を心からお願いしたい。