9回 受賞作品マンガ部門Manga Division

大賞

優秀賞

奨励賞

審査委員会推薦作品

審査講評

  • 木村 忠夫
    日本漫画学院学院長
    【作品カテゴリ別講評】コマ・自主制作・オンラインマンガ・その他
    オンラインマンガは昨年12作品だったが今回は33作品と倍増した。日本よりも海外からの応募が多く、着実に広まりつつある。内容的にも、紙で描く表現の限界を超え、動き、音、色彩などデジタルならではの表現を生かした作品が目立った。ただ動きを重要視した作品はアニメーション的になり、マンガとしての評価とは少し異なる印象があったため、今後の課題になるだろう。文化庁メディア芸術祭でのマンガ部門が注目されてきたせいか、自主制作マンガの応募率はマンガ部門では一番高くなった。内容的にも絵画的手法を取り入れた作品や、デジタルで描いた新しい表現による個性あふれる作品が目立った。ユニークな表現のおもしろさを感じたが、ストーリー性に欠けていたのが残念である。コママンガは若干応募点数が増えたものの、一コマの応募が少なかったのは残念。しかし力作が多く、ストーリーマンガと異なるおもしろい味が感じられた。次回には多数の応募を期待したい。
  • 竹宮 惠子
    【作品カテゴリ別講評】ストーリーマンガ
    今回は何といっても全体の応募数が伸びてきたことが喜ばしい。特にオンラインマンガは前年比275パーセントと、これからの発表形態を示唆するような数字になっている。海外からの応募も年々数が増え、マンガ部門の応募数の約1割が海外からの応募であった。文化庁メディア芸術祭における「マンガ賞」として、世界においても認知度が上がってきたという証明であろう。最終候補として残った作品群も、マンガという分野の間口の広さを示すがごとく、圧倒的な大作から非常にパーソナルな内容のもの、オーソドックスな良さを示すもの、さらには絵画との境目に位置するような作品などが並び、それらが十分に競い合った。世界中からの応募、年齢もさまざま、アマチュアもプロも一緒になって競える「マンガ賞」として、さらに来年の応募数も伸びてほしいと思う。
  • 里中 満智子
    マンガ家
    「アニメーション」ではないデジタルマンガに期待したい
    今年度は応募作品も多く、この賞が広く知られる存在に育ったことを改めて感じる。いわゆる流通出版物だけでなく、自費出版や同人誌の応募も目立ってきたこともうれしい。マンガの可能性を拓く...という意味で、デジタルマンガに期待したいのだが、応募作品をみると「デジタルマンガ」と「アニメーション」の区別がついていないものが目立った。アニメーションはデジタルであれ、アナログであれ、アニメーションだ。「デジタルマンガ」は「デジタル表現を取り入れることで新しい見せ方を開拓する」という、その工夫が生かされているという意味なのだが...。海外からの応募にアニメーションが多かったのが少し残念だった。