©Renaissance Yoshida 2013

第18回 マンガ部門 新人賞

愛を喰らえ!!

ルネッサンス吉田

作品概要

画面を埋め尽くすモノローグと強迫的に繰り返される会話、ルネッサンス吉田が過剰な言葉をもって描き出す、絶望とロマンス、そして救済の物語。古い花街で風俗店の店長として生きる女・百花(ももか)は、男性関係にトラウマを持ち、男を男に売ることに歪んだ悦(よろこ)びを覚えている。店で働く青年・内田は、少しずつ言葉を交わすようになった百花に引かれていくが、百花はその思いに応えることなく店を閉めて消えてしまう。少しずつ明らかになっていく百花の祖母と母から続く業、父との過去、妹との確執。男が嫌いで、家族が憎くて、自分自身を傷つけたい、そんな百花を救う存在とは―。百花の傷と回復の軌跡が描かれる。

贈賞理由

「個体としての男は別にいいの」「けど総体としてのなんだか漠然とした男っていう存在が嫌いなのよ」―。男性への嫌悪感をあらわにして生きる主人公の挑発的な言葉の数々、ギスギスした絵柄。粗野で押し付けがましい、でも、どうしても描かずにおれなかったのだろうと感じさせられる、繊細な本作。この作品によって救われる人間が居るだろう。その人に届いて欲しいと思う。ずっと描き続けて欲しいという気持ちを込めての贈賞である。(ヤマダ トモコ)