© 五十嵐大介 / 小学館IKKI

第13回 マンガ部門 優秀賞

海獣の子供

ストーリーマンガ

五十嵐 大介 [日本]

作品概要

夏休み早々部活禁止になってしまった少女、琉花は「海」と名のる不思議な少年と出会う。水族館の大水槽で自由自在に泳ぐ海の姿に心奪われた琉花は、彼が「空」とともにジュゴンに育てられた少年であることを知る。その頃、隕石が海に落ち世界で魚が消えていた。海の神秘は深まり、地球の命の物語へと広がってゆく。

贈賞理由

『海獣の子供』こそが、今という時代を代表する作品なのかもしれない。環境危機を受け、「文明」に対する批判、懐疑が世界中を覆っている。人類はこのままでいいのか? 私たちは間違っていなかったのか? そんな人類すべての恐れや想いを五十嵐大介は美しいファンタジーに変えた。これは少年と人類の運命と、そして大きな大きな海そのものの物語だ。いままで誰がこんな海を、海原と深海を描けただろうか? 人を描ける作家はいくらでもいる。しかし海や自然をここまで描ける作家がいただろうか? 五十嵐の筆にのって、私たちは海のなかを旅するイルカや大王イカと戯れることができる。マンガで世界は変えられないかもしれない。でも、このマンガで新しい世界をイメージすることができる。それは未来のひとつの可能性、人類と地球とのありかたのイメージだ。内向きで瞬間的な快楽ばかりがはびこる時代に、大きく未来を観るひとつの作品が生まれた。この作品が「日本のマンガ」のなかから生まれたことを私たちは誇らしく思うべきなのかもしれない。