© NaoYoshigai
出演:織田梨沙・柴田聡子・後藤ゆう・小暮香帆・菅彩夏・矢吹唯
音楽:柴田聡子
撮影:米山舞
照明:加藤大輝
美術・スタイリスト:加藤小雪
衣装:下山佳苗
録音:佐々木淳一
サウンドエディター:北田雅也
ロゴデザイン:畑友理恵
写真:黒田菜月
プロデューサー:鈴木徳至
エグゼクティブプロデューサー:渡辺俊雄

第19回 エンターテインメント部門 新人賞

ほったまるびより

映像作品

吉開 菜央

作品概要

おどりとはなにか」をテーマに、言語表現を極限まで削り「女の子のからだ」とその「動きから生まれる音」で表現された映像作品。小さな木造平屋一軒家には、人間であるさと子(歌手)のほかに、4人の踊り子が住みついている。心地の良い日々を過ごす踊り子たちだったが、ある日、家のなかにもうひとり少女がいたことを発見する。タイトルにある「ほったまる」とは「ほうっておくとたまるもの」の略語であり、髪の毛や爪、足の裏の皮など身体から出る落としもの、あるいは日々の生活で蓄積されるさまざまなにおいを指す造語。ダンサーでもある作者が、腹の底から湧き上がってくる得体のしれない感情・感覚をからだでつづった「おどる映画」である。

贈賞理由

清々しいエロティシズムとフェティシズム。生々しい皮膚感覚によって貫かれた透明な詩性。緩慢なワンカットすら拒む徹底した美意識。過激さと穏やかさ、衝突と均衡がもたらすその快楽は、ダンサーでもある監督の吉開菜央とパフォーマンスも行なうミュージシャンの柴田聡子の「個」の交わりによる成果か。「メディアとしての身体」という現代的なテーマを扱いながらも、超言語コードで綴られる映像からは、時間や空間を超越してさまざまな物語や思考が喚起させられる。2015年版ガーリー・ポップの「象徴」として記憶にとどめておきたい作品である。(工藤 健志)