©︎ Yama Wayama/Shodensha FEEL comics

第25回 マンガ部門 ソーシャル・インパクト賞

女の園の星

和山 やま[日本]

作品概要

成森女子高等学校の2年4組を担任する国語教師の星先生の身の回りの出来事が、ローテンションに描かれるギャグマンガ。生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとりを読み解こうと頭を悩ませたり、教室で犬を預かることになったり、マンガ家志望の生徒にアドバイスをしたりといったストーリーが展開された1巻に続き、2巻では星先生の中学時代の卒業アルバムの写真が都市伝説を生んだり、保護者に記念品作成を丸投げされた2年3組担任の数学教師・小林先生が才能を発揮したり……。主に描かれるのは星先生をはじめ、生徒たち、職員室で星先生の隣席の小林先生といった学校の人々による会話のやりとり。繊細な線が微妙な表情や動作を際立たせ、会話中のちょっとした言葉遣いすらも笑いにつなげる。

贈賞理由

昨年も1巻のみで堂々と受賞候補作に挙がり、その後あれよあれよと他賞を次々と獲得。そして2巻目もまたほかのマンガ家(私)が挫折感を感じるほどのおもしろさ。現在もまださまざまな賞にノミネートされ受賞していくことが予想される勢いには脱帽するしかない。現実的な、それでいて魅力に満ちた絵柄。現実にもありそう……と思わせながらワールドに引き摺り込む展開、そこに生み出される凄まじいギャグの威力。女子校の日常などわからない読者にも「リアル」「ああこうなんだ」「いいな女子校」と信じさせられる切り取り方。キャラクターの一つひとつの所作に「この人は生きている」と感じさせてくれる細部まで行き届いた描写力。登場するすべてのキャラクターを「推し」たくなる独特に魅力的な描き方が、読者の心、そして数々のマンガ賞の審査員の気持ちを鷲掴み、総なめで受賞し続けているのであろうと思われる。その影響力を鑑み、今回、当作品が受賞の運びとなった。(島本 和彦)