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映像│出演:井口裕香/寺田農/原知佐子/北岡龍貴/レイバー佐藤/渡辺裕薫(シンデレラエキスプレス)/保山宗明玉/花井なお/酒井一圭/春日萌花/加藤礼次朗/虹友美、高橋沙織(アルミカン)/平井駿佑/星光子│製作:西村よしたか/柴崎和則/伊藤穀彦│製作総指揮:森田一人│原作・プロデューサー:安齋レオ│監督・脚本・作画・撮影・編集:宇治茶│共同脚本:中沢健│音楽監督:ジャン=ポール高橋│サウンドエフェクト:せきやこうぞう│造形:寒河江弘│総合演出補:丸山祐司│主題歌:「Moe-Butsu」桜 稲垣早希│特別協力:株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー│制作:ムービーファクトリー│配給・宣伝:インターフィルム

第17回 エンターテインメント部門 優秀賞

燃える仏像人間

ゲキメーション

宇治茶

作品概要

原始的なアニメーション手法であるものの、単純ゆえに自由な表現が可能な“ 劇メーション”と呼ばれる映像表現で構成された本作には、劇中でさまざまなエフェクトが試されている。物語は京都で相次ぐ謎の仏像盗難事件が舞台。女子高生「紅子」は実家である寺の仏像を盗まれ、その上に両親までも惨殺され、天涯孤独の身となる。身寄りの無い彼女は両親の旧友である僧侶「円汁」の寺に引き取られる。そこで彼女は両親と仏像が融合したかのような醜い仏像人間と遭遇する……。ストーリーの中で、映画の冒頭と終盤には実写シーンも挿入され、主人公「紅子」を演じる井口裕香が怪しい劇メーションの世界へと誘う。作品のテーマは“ 融合”。仏像と人間が融合する奇想天外なストーリーを通じて、「紅子」の成長と淡い恋を描き出す。怪奇性が強い作品であるが、芸人の桜稲垣早希が歌う主題歌は「紅子」の気持ちを明るく歌い上げる。

贈賞理由

『燃える仏像人間』はアニメーションの技法のひとつ、リミテッド・アニメーションの最果てである“劇メーション”という難儀な手法で制作されている。“劇メーション”とは、1976年のテレビアニメ『妖怪伝 猫目小僧』で強引に実験された、劇画とアニメーションの融合だ。切り絵と特殊効果による「激ロウ・バジェット(小規模予算)」なその流儀は、アニメーションの基礎である「連続した静止画像の連なり」をも放棄せざるを得なかった日本アニメ界のトラウマなのだ。このトラウマを克服するかのごとく、人間と仏像の「融合生命体」を描いた本作には、無菌状態のテクノロジー至上主義をあざ笑うかのように、手垢と怨念がアニマとして焼き付いている。絵の具と紙が今世紀においても最も有効なテクノロジーのひとつであり、果敢なくも愛おしいピュア・メディアなのだという事実を我々はこの作品から突き付けられるのである。(宇川 直宏)