©Tomihiko Morimi, GENTOSHA / Uchoten-Kazoku Committee
原作:森見登美彦『有頂天家族』(幻冬舎文庫)|監督:吉原正行|キャラクター原案:久米田康治|シリーズ構成/脚本:菅正太郎|脚本:檜垣亮|キャラクターデザイン/総作画監督:川面恒介|美術監督:竹田悠介/岡本春美|色彩設計:井上佳津枝|撮影監督:並木智|編集:高橋歩|3D監督:菅生和也|音響監督:明田川仁|音楽:藤澤慶昌|音楽制作:ランティス|アニメーションプロデューサー:堀川憲司|アニメーション制作:P.A.WORKS|製作主幹:バンダイビジュアル|キャスト 下鴨矢三郎:櫻井孝宏|下鴨矢一郎:諏訪部順一|下鴨矢二郎:吉野裕行|下鴨矢四郎:中原麻衣|弁天:能登麻美子|母:井上喜久子|赤玉先生:梅津秀行|下鴨総一郎:石原凡|夷川早雲:飛田展男|金閣:西地修哉|銀閣:畠山航輔|海星:佐倉綾音|淀川教授:樋口武彦 他

第17回 アニメーション部門 優秀賞

有頂天家族

テレビアニメーション

吉原 正行

作品概要

京都・下鴨神社、糺の森に暮らす狸の下鴨家。狸界の頭領だった父「総一郎」が狸鍋となってこの世を去った後、息子たち「下鴨四兄弟」が残された。偉大な父の「阿呆の血」を色濃く継いだ三男「矢三郎」は、生真面目だが土壇場に弱い長兄「矢一郎」、蛙の姿で井戸にこもる次兄「矢二郎」、臆病ですぐに尻尾を出す末弟「矢四郎」たちと、“面白きことはよきことなり”を信条に、タカラヅカに心酔する母を守りつつそれなりに楽しく暮らしている。落ちぶれた師匠の大天狗「赤玉先生」の世話を焼き、神通力で空をかける人間の美女「弁天」に振り回され、はたまた五山の送り火の夜空で宿敵・夷川家と空中合戦を繰り広げる日々の果てに、突如下鴨家を襲う絶体絶命の危機。父が鍋になった真相が明らかになる中、固い絆で結ばれた下鴨家の命運を描く。原作・森見登美彦×キャラクター原案・久米田康治× アニメーション制作・P.A.WORKSでつづる波瀾万丈、家族愛あふれる物語。

贈賞理由

当代の人気作家、森見登美彦の小説『有頂天家族』のテレビアニメーション化作品である。京都を舞台に狸と天狗と人間が入り乱れての奇想天外な幻想劇風の森見ワールドを、吉原正行監督のもとP.A.WORKSがテンポよく、実に心地好い作品に仕上げている。丁寧な取材をもとに、当世流行の「御当地アニメ」を装いながら、現代的なセンスと技術を生かし、痛快アクションを観せてくれる。人気小説のアニメーション化は、キャラクターや美術が嚙み合わないと原作の面白みが伝わらないということもあるが、この作品のスタッフは見事に森見ワールドのアニメーション化に成功している。魔法少女ものや近未来SF作品に秀作の多い最近のアニメーションの中で、ひと味違った作品世界を展開していることもこの作品の魅力である。(杉井 ギサブロー)