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第24回 エンターテインメント部門 新人賞

アンリアルライフ

ゲーム

芳賀 直⽃[日本]

作品概要

主人公である少女の失われた記憶をたどるアドベンチャーゲーム。少⼥には触ったモノの記憶を読み取る⼒があり、それを頼りに謎を解き、⾃⾝の記憶を取り戻していく。作者は、ほぼ一人で4年かけて本作を制作した。グラフィックスタイルとして用いられているピクセルアートは、2000年代半ば以降インターネット上で再評価、およびネット世代のクリエイターによる制作が活発化しており、本作はそうした同時代性も感じさせる。幻想的な世界観をつくるグラフィック上の大きな特徴を持つ一方で、誰にでも謎解きできるようヒントがつくり込まれ、ユーザーインターフェースもわかりやすく設計されるなど、多くの人が楽しめるゲームバランスにも配慮されている。

贈賞理由

近年ピクセルアートを用いたインディーゲームは多く、その視覚的な特徴をセンシティブな物語を描くのに利用した作品も増えている。本作は一見すればそうした作品のひとつのようにも思えるが、しかし作者一人で数年を費やして完成させたからこそ実現できる高い完成度があった。緻密な設計と、それゆえに描かれるドラマティックな物語への感動が高い評価を得て、今回の贈賞にいたった。グリッチ的な表現に感情表現を組み合わせた幻想的かつサスペンス的な物語展開や、背景や音楽をユーザーに意識させるための演出も十分な効果を上げている。(さやわか)