13回 アニメーション部門 講評

スペインの砂をアニメートした短編アニメーションの秀作『No corras tanto (Take It easy)』がOVAのカテゴリーで応募されていたり、『センコロール』は商業アニメーションの表現スタイルでつくられDVDが流通にのったことで短編ではなくOVAではないか? と議論されるなどの混乱もありながら、年齢、プロ、アマ、国籍といった垣根を取り払って評価するスタイルがこの芸術祭ならではのユニークな点です。短編では、デジタル化により巧みにつくりこまれている作品も多く感心するのですが、作者の熱気や汗臭い手触りが薄れつつあるようにも感じました。そんな中でこつこつと立体アニメーションをつくり続けて完成した『電信柱エレミの恋』に脱帽。注目された作品『HAND SOAP』での性的な表現についての議論で、アニメーションだから避ける、嫌悪するという考え方はなく、内容への共感を得たこと、純粋に作品として高く評価されたことが印象に残っています。

プロフィール
木船 園子
アニメーション作家
1979年木船徳光とIKIFというユニットを組み自主制作アニメーションの制作をはじめ、実験アニメーションや映像インスタレーションなどの制作発表を続ける。80年代終盤より、CGアニメーション制作に携わるようになり、1997年にIKIF+を設立。1995-97年NHK教育プチプチ・アニメ『ぶーばーがー』を制作。2006年『立喰師列伝』3D監督、2007- 2009年にかけ毎年春休み公開『映画ドラえもん』のOPアニメーションを担当。日本アニメーション協会、日本アニメーション学会理事、東京工芸大学教授。