12回 アニメーション部門 講評

【作品カテゴリ別講評】短編アニメーション

デジタル技術の成熟でプロもアマチュアも同じ土俵で戦える武器を手にし、アニメーションはバラエティに富んだ豊かさを呈している。短編として応募された223作品からは際立って強く熱く訴えかける作品はそれほど多くなく珠玉作22本がすんなりと選ばれたが、大賞・優秀賞3本・奨励賞を出すという驚きの結果となった。『つみきのいえ』は芸術性と心に響くテーマ性がみごとに融合した入魂作で審査員文句なし一致の大賞。卓越したCG技術で独創的な世界を構築した『KUDAN』。手づくり刺繍の温かさを感じさせる『DREAMS』。注目すべき多くの若い才能にも出会えた一方で哲学の視覚化に挑戦した『こどもの形而上学』、ほのぼのした世界を高い技術力で見せる『ニャッキ! ふみきり』『ギンガムチェックの小鳥』。これらアニメーションへの愛と執念とチャレンジ精神を持ちつづけるプロのクリエイターにもエールを贈りたいと思う。

プロフィール
木船 園子
アニメーション作家
1979年木船徳光とIKIFというユニットを組み自主制作アニメーションの制作をはじめ、実験アニメーションや映像インスタレーションなどの制作発表を続ける。80年代終盤より、CGアニメーション制作に携わるようになり、1997年にIKIF+を設立。1995-97年NHK教育プチプチ・アニメ『ぶーばーがー』を制作。2006年『立喰師列伝』3D監督、2007- 2009年にかけ毎年春休み公開『映画ドラえもん』のOPアニメーションを担当。日本アニメーション協会、日本アニメーション学会理事、東京工芸大学教授。