12回 アート部門 講評

【作品カテゴリ別講評】Web

今回、Webは感動できる作品が極端に少なく、結果、優秀賞にひとつも残らないという事態になってしまった。確かに、このジャンルはメディアの性格上、ネット環境+モニター上で見なければならないという制約があり、ほかのジャンルに比べ、五感をフルに刺激することが難しい。しかも、WebはプログラムとCGで構成していく故に、小さくまとまってしまう傾向がある。ここに、スケール感が出ない原因があると思う。今回のノミネートのなかでは、Carolien HERMANS の『BODY IN BITS AND PIECES』が肉体を感じさせたが、動画やインタラクティブ性がもっとあればよかった。また、Jorn EBNERの『(the tender indifference)』はポップアップ機能を駆使し、おもしろいが、それが出てくるタイミングや音にスピード感がほしかったし、その写真内容の批評性が薄かったのが残念だった。いずれにしても、アート部門におけるWebというジャンルの在り方を考える時期に来ているように感じた。

プロフィール
宮島 達男
東北芸術工科大学副学長
1957年、東京都江戸川区生まれ。1986年、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。1988年、ヴェネツィア・ビエンナーレに、アペルト部門で招待され、デジタル数字の作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催している。1993年、ジュネーブ大学コンペティション優勝(スイス)。1998年、第5回日本現代芸術振興賞受賞、ロンドン・インスティチュート名誉博士。