第13回 受賞作品アート部門Art Division
大賞
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growth modeling device
インスタレーション
David BOWEN [米国]
玉ねぎの地上部分の成長の度合いに基づいた動的インスタレーション。このシステムは観察者と創造者の役割を果たし、変わりゆく生きた対象物を限定的かつ機械的に投影したオブジェを創りだす。単純なレーザーの目を通して、有機的に活動しているものを実を結ばない複製品に変え、自然を工業素材で再生しようとしている。
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growth modeling device
インスタレーション
David BOWEN [米国]
玉ねぎの地上部分の成長の度合いに基づいた動的インスタレーション。このシステムは観察者と創造者の役割を果たし、変わりゆく生きた対象物を限定的かつ機械的に投影したオブジェを創りだす。単純なレーザーの目を通して、有機的に活動しているものを実を結ばない複製品に変え、自然を工業素材で再生しようとしている。
優秀賞
奨励賞
審査委員会推薦作品
ある広さの実例 / An Example For A Certain Extent
インスタレーション
坂川 弘太 [日本]
「空間生態」2009となみ
静止画
加賀谷 武 [日本]
キリンの絵
静止画
池口 友理 [日本]
収穫
静止画
Sari Dote [日本]
巡礼端末~The Terminal for Pilgrimage
インタラクティブアート
千房 けん輔/赤岩 やえ(exonemo) [日本]
ハンターギャザラー・カラリスト
Web
竹本 香織/山本 雄平/小林 茂 [日本]
ディシディア ファイナルファンタジー ポーション(コスモス / カオス)
静止画
鈴木 雅人/野村 哲也 [日本]
ファントム・エキシビション ~ 背骨のためのマテリアル
インスタレーション
Steve PAXTON [日本]
ベアリング・グロッケン II
インスタレーション
川瀬 浩介 [日本]
a circular structure for the internal observer
インスタレーション
平川 紀道 [日本]
夕張夫妻
キャラクター
三寺 雅人/西村 直樹 [日本]
Alone
映像
Gerard FREIXES RIBERA [スペイン]
As an artist, I need to rest
パフォーマンス
Sonia CILLARI [イタリア]
Bicycle Built For Two Thousand
Web
Aaron KOBLIN / Daniel MASSEY [アメリカ]
Body / Traces
映像
Sophie KAHN / Lisa PARRA [アメリカ/オーストラリア]
Box 2
インスタレーション
Nika OBLAK / Primoz NOVAK [スロベニア]
CNJPUS TEXT
静止画
清水 玲 [日本]
boy
静止画
鈴川 洋平 [日本]
Common Flowers – Flower Commons
ハイブリッドアート
福原 志保/ゲオアグ トレメル(BCL) [日本]
Dry Land Dry Beans
映像
黄川田 勇太 [日本]
ELEKTROLAB
インタラクティブアート
Rachida ZIANI / Dewi DE VREE [オランダ]
Face visualizer, instrument, and copy
パフォーマンス
真鍋 大度 [日本]
Fredo Viola’s The Turn
Web
Fredo VIOLA / Cristobal CASTILLA (Aer Visual Studio) / Jose HERNANDEZ (Aer Visual Studio) [アメリカ/スペイン]
grained time
映像
五島 一浩 [日本]
Home Sweet Home
静止画
Rubi LEBOVITCH [イスラエル]
French Lessons
映像
Vanessa LOUZON [イスラエル]
Jamming Gear
インタラクティブアート
菅野 創/西郷 憲一郎 [日本]
MOONBELL (Selene / Kaguya Lunar Sound)
Web
Moonbell with Selene 制作チーム代表 東泉 一郎 [日本]
MMIX
ゲーム
Nicolas CLAUSS [フランス]
Pa++ern
インタラクティブアート
石橋 素/真鍋 大度 [日本]
One
インタラクティブアート
Yoon Chung HAN / Erick OH / Gautam RANGAN [韓国/アメリカ]
Parallel
映像
Owen Eric WOOD [カナダ]
Preface of Memory: K’s Slides
静止画
Bo-yun JANG [韓国]
Objects for Our Sick Planet
インタラクティブアート
ONG Kian-Peng [シンガポール]
Realm 1 Part 1
映像
Thomas MOHR [オランダ]
Reconstructing Mayakovsky
Web
Illya SZLIAK / Pelin KIRCA [イタリア]
sixtypes
Web
岡田 尚志 [日本]
SOUND NOMADS
映像
Ger GER [オーストリア]
Surface Tensions I and II
静止画
西村 吉代 [日本]
Ten Thousand Peacock Feathers in Foaming Acid
インスタレーション
Evelina DOMNITCH / Dmitry GELFAND
Texmoca
インタラクティブアート
関根 雅人/黒田 杏子 [日本]
the Way Sensing GO +
ワークショップ/インスタレーション
the Way Sensing GO + 制作チーム代表 真鍋 大度 [日本]
THE DOOR
インスタレーション
WANG Jun [中国]
The Wind Tunnel
インタラクティブアート
Louis-Philippe DEMERS / Armin PURKRABEK / Phillip SCHULZE [カナダ/オーストリア/ドイツ]
Time Out of Place
映像
Ruth JARMAN / Joe GERHARDT (Semiconductor) [イギリス]
Tuvalu Visualization Project
Web
渡邉 英徳/遠藤 秀一 [日本]
TYPOGRAFFIT
Web
ババ アツシ [日本]
Urbanized Typeface : Shibuya08-09
インタラクティブアート
山口 崇洋 [日本]
wonderfl build flash online
Web
大塚 雅和/片岡 巧(面白法人カヤック) [日本]
Writing and drawing with moonlight
静止画
David DOYLE [オーストラリア]
審査講評
- 関口 敦仁情報科学芸術大学院大学(IAMAS)学長審査では身体性や社会的な仕組みもメディアとしてとらえる表現や、今後のメディア芸術がプロダクトとどのように折り合いをつけていけば良いのかといった作品が目に留まった。Web作品群では、コンテンツを共有するだけのプラットホームとした利用法だけではなく、クリエイティビティを共有するための新しい環境を提供しようとするものもあり、面白いアプローチがあった。これらの作品は物質性や物語性で完成された作品と異なるアプローチであり、異なる表現性の提示ながら評価はされにくい。このような新しい試みは魅力のあるものだったが、アート部門の審査ではメディア表現の新規性を肯定しても、芸術作品としての物質性や物語性での技術と完成度があれば、この点を評価するのは自然なことであろう。その一方で表現する可能性の芽を摘まないように、今後はこれらの新しいメディア表現の方向性について評価できるカテゴリーが必要なのではないだろうか。
- 辻川 幸一郎映像とメディアアートは相性がよくないのではないか。映像は他の何よりも不自由なメディアだ。決められた時間で一方向に鑑賞しなければならないし、入力に反応するような気の利いた仕掛けもできない。展示方法もスクリーンやモニターなどのありふれた規格にあわせるしかなく、それらは単に微発光する平面でしかない。などと考えていたのだが、予想に反して国内外から多数の作品が応募されており、選考も楽しめた。これは制作過程において、前述した不自由さに自覚的にならざるをえないことそれ自体が、問題意識として作品に強度を与えるためだろう。テクノロジーの進化による双方向性や身体拡張性などの全能感を無条件で賛美する作品よりも、メディアの不自由さや限界について取り組む感性の方に、より共感できるものがあった。受賞作である『SEKILALA』は、映像の中で最も制度的な、映画手法の解体と再構築に取り組んだ、意欲的な作品であった。
- 四方 幸子メディアアート・キュレーター作品の完成度や現代におけるアクチュアリティに加え、「複数のメディアをかつてないかたちで創造的に連結しているか」「既存の価値観でとらえられない、未知で未分化である作品をどのように評価するか」をことさら意識した。後者はアーティスト自身が無自覚であっても、そこから人々に新たな意識や解釈、関係を生じさせうる可能性を読み取れるかどうかを審査する側が自問することになる。インタラクティブ、インスタレーションでは身体が介在するもの、アナログの非線形的現象や仮想現実を扱うもの、環境や生命科学にユーモラスな批評性で挑むものなどいくつかの傾向が見られた。いずれも予定調和から距離をとり、むしろ現象が生起し展開するプロセスを重視するものといえる。そのなかで、ひとつの現象の提示に終わるのではなく、バーチャルなシステムとの連結や複数のシステムを連結・共有するなど、異質なものとの出会いや新たな位相に作品を開いていくものに注目した。
- 岡﨑 乾二郎近畿大学国際人文科学研究所教授メディアアートはいまだ表現ジャンルとしては確定されていない。文化を構成するのは、ことごとくメディアだからだ。メディアアートの呼称が必要となるのは、既存メディアへの批判(既存の使用方法、機能を再考させ、新たなメディア構築の可能性を示す)を含むためである。したがってメディアアートにとって先端的メディアやテクノロジーの使用は十分条件ではない。その表現がメディアとして(既存メディアを超えた)いかなる関係、機能を産み出し、新たな時間、空間を組織するか、それこそが問われる。これは現在の社会的要請(必要性)を一歩先んじるゆえに芸術であり、また、そこでこそ芸術は公共的価値をもつといえる。単なる技術的洗練は審美的に評価されるだけなら、かえって弊害となる。たとえば非線形などの概念を弄し、アルゴリズムを駆使し自然生成を模写しても、自然のうつろいを愛でる美学に帰着するなら最新技術は必要ない。伝統的な庭で事足りる。
- 佐藤 卓今年のアート部門の出品総数は前年比約15パーセント増。傾向としては、海外からの応募が昨年よりやや増し、中国からの応募が特に増えて昨年の3点から68点になるなど、国ごとの勢いが数字からもうかがえる。興味深いのはそれまで1点の応募もなかったキューバ、クロアチア、ウクライナ、エクアドル、スリランカ、パキスタンなどからの応募があることだ。このような傾向は、作品が生まれる社会的、文化的背景をどこまで理解して審査できるかという難しい問題を浮き彫りにする。そして毎年議論になっていることとして、インスタレーションやインタラクティブ作品も、映像というメディアを使って審査を受けなければならないという、時間的、空間的、経済的な審査自体の限界である。インスタレーションはその場の空間も含めて作品であるから、本来は体験してみないとわからない。メディアアートをどのように審査すればいいかという難しい議論もしながら、今年の審査が行われたことをここに記しておきたい。審査については、多様性、時代性、クオリティ、新しさ、プロセスなどを討議しながら、賞の決定まで進んだ。決定した賞を、ジャンル別に見るとおわかりいただけるように、今年は特に静止画でほかのジャンルに比べて特別に秀でているものに出会えなかった。それに対してインタラクティブ、インスタレーション、映像のジャンルでは受賞作以外にも素晴らしい作品が多かったのが印象的だった。