©James Bridle

第17回 アート部門 優秀賞

Dronestagram

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James BRIDLE

作品概要

本作は、無人航空機(drone)に攻撃された人目に付かない風景を、調査された報道記事、地図データ、ソーシャルメディアを通じて明らかにするプロジェクトである。調査報道記者の攻撃に関する情報から、その位置を地図上に特定し、更に衛星写真を「Instagram」「Tumblr」「Twitter」等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、写真共有サービスに投稿する。

宣戦布告なき戦争や暗殺計画では無人航空機(UAVSやdrone)が実際に使われているが、最近までこの事実が注目されることはなかった。その理由は、21世紀の今日になっても、戦場が私たちの目に触れないからだけではなく、技術的、政治的な背景のためでもある。本プロジェクトは監視、暴力、戦争とネットワーク技術との関係と不調和を示すものである。

贈賞理由

無人航空機(drone)による爆撃地が、「Instagram」などのSNSに逐次レポートされていくこのプロジェクトは、昨今の国際的な機密暴露、漏洩事件などもあり、どこか不穏な印象を与える。しかしその情報源は、ニューヨーク・タイムズ、パキスタンの新聞、BBCといったポピュラーなメディアのウェブ上に公開されたものであり、使われている衛星写真もGoogle Mapsから得られる画像にすぎない。その淡々としたレポートが、奇妙なリアリティーと同時に不安を与えるのは、我々が日々恩恵を受けているこうしたテクノロジーが、軍事テクノロジーに依っているという現実と、我々自らがその現実がメディアなどによって隠蔽されていると素朴に信じ、眼を背けようとしている事実を冷徹に指し示しているからだろう。サイトに寄せられるさまざまなコメントも含め、鋭い問題提起が感じられる作品である。(後々田 寿徳)