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企画・製作:一般社団法人 日本音楽事業者協会|原作・脚本:杉田成道|
脚本:櫻井圭記|監督:西久保瑞穂|音楽:さだまさし|キャラクター原案:
福島敦子|作画監督:伊東伸高|色彩設計:遊佐久美子|総美術監督:サ
ンティアゴ・モンティエル|CG監督:井野元英二|撮影監督:中田祐美子|
ビジュアルエフェクト:江面久/齋藤瑛|編集:植松淳一|プロデューサー:
宮川朋之/櫻井圭記|アニメーション制作:Production I.G

第18回 アニメーション部門 優秀賞

ジョバンニの島

劇場アニメーション

西久保 瑞穂

作品概要

設定は1945年、北海道沖に戦火を免れて浮かぶ小さな島・色丹島(しこたんとう)。ここに、戦争の実感がないまま10歳の兄・純平と7歳の弟・寛太が暮らしていた。しかし8月15日の敗戦に伴い、彼らの生活に大きな変化が訪れる。明日にでも米国軍がやってくるのでは……と不安な日々を送る島民たちであったが、突然上陸したのはソ連軍だった。そして、いつの間にか国境線が変わり、やがて島にソ連兵の家族が移住することになる。島民と新しい隣人との共同生活が始まるのだが―。戦争の不条理と悲劇を「純平」の目線で辿りながら、言葉と文化の違いという壁を越えて、子どもたちの絆が芽生えていくさまが描かれる。日本、ロシア、アルゼンチン、韓国、エストニア、アメリカ、イタリアからの多国籍スタッフが集結して送る、実話に基づいたアニメーション。

贈賞理由

まことに美しい作品である。そのアニメーション技術と表現は精華であり、国産アニメーション100年を前にその水準、到達点を世界に示す作品のひとつといえる。当時子どもだった旧島民の回想に依拠した事実に基づく映画として作られたこの作品は、ドキュメンタリーアニメーションの埒内(らちない)とも見えるが、単なる記録や記憶の再現ではなく、一個人のみならず、他の島民の体験や諸島内での出来事などを巧みに織り交ぜた集合的な体験と記憶から成る、構成的な作品である。本土空襲や沖縄戦ほどには取り上げられる機会の少ないアジア太平洋戦争末期の北方地域のソ連占領をテーマに、過酷な史実をプロパガンダに流れることなく子どもの視点から描くことで、児童を含む幅広い世代に歴史を考え直す機会を与えた。まことに重く切ない作品である。審査会では脚本や演出などいくつかの点で評価が分かれたが、鑑賞者に健全な感動を与える作品という点でも本芸術祭の贈賞にふさわしい。(小出 正志)