第18回 マンガ部門 優秀賞
春風のスネグラチカ
沙村 広明
作品概要
1933年、極寒のロシアを舞台に、ロシア革命によって帝政ロシアから共産主義ソビエトへと変化する激動の時代を背景とした歴史ロマン作品。とある別荘(ダーチャ)の管理人であるイリヤ・エヴゲーニヴィチ・ブイコフは、車椅子の少女・ビエールカともの言わぬ従者・シシェノークに出会い、「私が勝ったら、あの別荘に一週間泊めて下さい」と奇妙な賭けを申し込まれる。ブイコフは賭けに勝ったものの亡命することになり、結果ビエールカとシシェノークが別荘に住みつく。しかしながらすぐに秘密警察(OGPU)に捕らえられ、過酷な運命に巻き込まれていく。なぜ、そしてどこから彼らはこの地にやってきたのか。互いだけを頼りに生きる二人が背負う密かな宿命とは―。怪僧ラスプーチン、OGPU長官メンジンスキー、ロマノフ朝最大の貴族の後継者ユスポフ公など、ロシアの歴史を動かした実在の人物と主人公たちの運命が絡み合っていく。緻密な人物描写とストーリー展開で、歴史に埋もれた物語が明かされる。
贈賞理由