© Atsushi Wada / Tokyo University of the Arts

第14回 アニメーション部門 優秀賞

わからないブタ

短編アニメーション

和田 淳

作品概要

の前にブタがいる。その家には人間がいる。みんなブタのことを知っているし、ブタもみんなのことに気付いているが、それぞれどれくらいに、どんなふうに知っているかは分からない。お母さんもお父さんのことが分からない……。更半紙に0.3ミリ芯のシャープペンシルで作画。紙の質感と線の不均質さを生かすことで、独特の感覚を生み出している。

贈賞理由

独特の息遣いで息を吹き込まれたアニメーション
『わからないブタ』はわからない。いや、そもそもわかろうとして向き合う作品ではないのかもしれない。 作者の息遣いに合わせて太極拳でも習ってる雰囲気である。和田アニメ独特の「間」にいつのまにか引きずり込まれてしまっている。
だいたい、あまり見かけない特別な絵である。潜在意識下に残っていた大昔の丸薬や貼り薬の広告の絵が突然息を吹き返したような……。スタイルは違うが町田久美氏の日本画の運動神経を鈍くしたような……。
しかしながら、この作家性は凄いと思う。
「ふっ、」とか「は、」などと発しながら和田世界の住民が周りに増殖中である。アニメイティッド(息を吹き込まれた)されたパンツ男たちやのんべんだらりのブタの息(また息である。)が、ヘンな「間」をあけて空中に男を吹き上げる。