© Yuichiro Katsumoto, Keio-NUS CUTE Center

第15回 エンターテインメント部門 優秀賞

相転移的装置

遊具

勝本 雄一朗

作品概要

氷・水・水蒸気の「相転移」のように、情報的にも物質的にも変幻自在なデジタルメディアを生み出そう、という意図のもとに制作された電子遊具シリーズ。形状と柔軟性が多様に変化するインターフェース「ニンジャトラック」、合体と変形によって

贈賞理由

ソフト/ハードの境界を自在にシフトする電子遊具
蝶番で縦横に連結され、自在に変形する遊具である。しなる鞭がスイッチを押すと剣となり、リコーダーを折り曲げるとサクソフォンに変化し、他の楽器にもなる。各種センサーとサーボモーターを有したこの特殊な構造体は、創意工夫と遊び心に満ち溢れている。軟らかい水も氷となれば硬くなるような変化を「相転移」と呼ぶことにちなんで作品名を『相転移的装置』と命名しているところから、作者は情報や物質の有り様を革新しようとしているかにみえる。このようなテクノロジーヒエラルキーの改革がこれからのアートをダイナミックに変えていくかもしれない。昨今のディスプレイ上の映像表現至上主義に対し、遊具本来の「手触り感」を追求している点も高く評価したい。今後も新しいアート装置が発表されていくことへの期待を与えてくれた作品である。