©︎ Google Project Guideline

第25回 エンターテインメント部門 優秀賞

Project Guideline

プロダクト

『Google Project Guideline』チーム(代表:湯河 テッド)[日本]

作品概要

スポーツに参加する機会を持つことは、すべての人に法律で保障された権利である。しかしさまざまな障がいのある人たちにとって、この権利は必ずしも現実のものとはなっていない。そんな現状を少しでも変えるために、通常は伴走者とともに走るブラインドランナーの「自分の思うとおりに、誰にも頼ることなく自由に走ってみたい」との想いに応え、スマートフォンを使って一人で自由に走ることを目指す研究開発プロジェクト。機械学習技術を活用した画像認識AIによって、ランナーの腰に装着したスマートフォンが地面に引かれた線を見分け、ランナーの位置を瞬時に判断してヘッドフォンを通じて音声シグナルを送る。ランナーはその音を頼りに、線から逸れることなくランニングをすることができる。プロジェクトはメディアにも取り上げられ、2021年に東京で開催されたパラリンピックでは開会式での演出にも使用された。当事者を含むコミュニティと協業する形での研究開発を進めている。

贈賞理由

一見シンプルな機械学習を使ったアイデアだが、技術の使い方の方向性に対して現在の機械学習に実装可能で意義のある対象はまだまだあるという気づきを与えてくれるプロジェクトだ。一方でまだこのプロジェクトは駆け出したばかりとも言えるだろう。彼らが公道や河原など、ガイドラインがあったりなかったりする場所を、自由に安全に思うまま走れるようになるには技術的な問題が多々あるとは思うが、ぜひプロジェクトを続けてほしい。そして最終的には機械の目を使うメリットを存分に生かし、人間の目の機能を超え「誰もが今まで走れなかった環境」さえ、誰もが走れる技術にまで飛躍してくれることを願っている。このプロジェクトの気づきをきっかけに、未だ世に多く存在する不便、障がい、状況の不公平、不均衡さなどが変革するプロジェクトが生み出されると嬉しい。(長谷川 愛)