第23回 エンターテインメント部門 優秀賞
SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE
ゲーム
SEKIRO開発チーム(代表:宮崎 英高) [日本]
作品概要
戦国時代末期の日本を舞台とした、アクションアドベンチャーゲーム。プレイヤーは凄腕の忍である「狼」を操りながら、連れ去られ幽閉された主・御子を救うために、さまざまな強敵に挑んでいく。相手の所作をつぶさに観察しながら一瞬の隙に勝機を見出し、死亡してもその場で復活する「回生」を利用して油断した敵を襲うなど、緊張感のある戦闘によってステージを進めていく。タイミングを合わせたステップによる「見切り」や、忍具「仕込み傘」による防御、敵を避ける隠密行動といった技術、さらに自らの死に至るまで、持てるすべての能力を駆使しながら、高い難易度設定の敵を倒すことで達成感を得ることができる。『ダークソウル』や『Bloodborne』といった同社の人気シリーズの系譜を引き継いだ本作は、幾度もの挑戦と鍛錬を繰り返すことで難敵を倒していくその作風から、多くのプレイヤーがインターネット上にプレイの様子を映した動画を公開するなど、国内外で高い人気を集めている。
贈賞理由
静寂。月、風に揺らぐ薄。高台に上がると目に飛び込む夕陽。緊張。勝負、敗北……。挑戦、勝利、そして解放のカタルシス。名画のような映像美のなか、忍者をリアルに体感できる緊張と快感。小説、映画、時代劇、マンガ、アニメ、特撮といつの世も支持を集め、ゲームでも定番のテーマである忍者。ミドルウェアなど技術の共有により、各国でハイエンドなゲームが制作されている昨今、日本ならではのテーマ=文化であり芸術をゲームというメディアで改めて世界にインストールした作品だ。ストイックなゲーム制作で定評のある制作会社が満を持して忍者という定番モチーフに挑み、ゲーム性×世界観のストイシズムの二乗を見事に昇華。究極の「忍びゲー」(忍者ゲーム)で日本のゲームの真骨頂を世界中に轟かせてくれた。ゲームクリエイターとしては嫉妬を感じつつもストレートに賛美せざるを得ない。(時田 貴司)