第25回 アート部門 新人賞

The Transparency of Randomness

メディアインスタレーション

Mathias GARTNER / Vera TOLAZZI[オーストリア]

作品概要

真の無作為性についての思考を鑑賞者に促すインスタレーション。27個の透明な箱が空間に置かれており、その一つひとつで自動的にサイコロが振られ、乱数が生成される。生成されたすべての乱数の総和は、リアルタイムの計算、そしてジェネラティブアートの基礎となる。サイコロが転がる斜面には綿や苔などの自然の素材が敷き詰められており、自然が持つ複雑さが組み込まれている。また、鑑賞者はスマートフォンを使って箱を操作することで数の創出に能動的に関わることができる。サイコロが転がる音が響く空間の中で、鑑賞者は偶然性や無作為性について、また現代の人工知能や量子力学などの研究分野での無作為性の活用について考えることになる。

贈賞理由

偶然性は、マルセル・デュシャンに始まり、20世紀を通して広く芸術作品の制作の基盤として用いられてきた。ジョン・ケージは易経に触発され、偶然性を音楽、美術、文章の制作の重要な手法として用い、次世代のアーティストに道を示した。本作の作家たちは偶然性の数学的、哲学的側面を考察し、本物のサイコロと、オレンジや貝殻などの有機物の物理的な出会いを通じて、乱数を生成するユーモラスなインスタレーションを制作した。自然の要素が中心的な役割を果たす乱数発生装置であり、宇宙における乱数の根源的な有用性と意味を明らかにするものである。(クリストフ・シャルル)