2015年12月4日撮影December 4, 2015

第19回

上村 雅之

ハードウェア開発者/ビデオゲーム研究者

プロフィール

1943年、東京都生まれ。千葉工業大学電子工学部電子工学科卒業。1967年、早川電機(現シャープ)に入社。入社時は主に光センサーなどの技術サービス業務に従事。『光線銃シリーズ』の開発に関わったことがきっかけで、1971年、任天堂株式会社入社。その後『カラーテレビゲーム6』、『カラーテレビゲーム15』、『ブロック崩し』などの初期テレビゲーム機の開発を担当。1981年、『ファミリーコンピュータ(ファミコン)』の開発責任者となり、国内で大ヒットしたのを契機に、海外向けファミコン『Nintendo Entertainment System(NES)』、および『スーパーファミコン』の開発責任者を務める。2004年、任天堂株式会社を退職と同時に任天堂株式会社開発アドバイザーおよび立命館大学大学院先端総合学術研究科特任教授に就任し、ビデオゲームの学術的研究に尽力する。その成果はCEDEC 2010などで報告されている。2009年より、同大学映像学部において「遊戯史」講義および「遊びの映像化」をテーマとしたゼミナールの指導にあたる。現在、立命館大学ゲーム研究センター(RCGS)センター長および映像学部客員教授。

贈賞理由

上村雅之はビデオゲーム勃興期に『ファミリーコンピュータ』を開発し、一過性のブームとして過ぎ去る可能性もあったこのジャンルを産業として、そして文化として確立した。また、上村は2011年より立命館大学ゲーム研究センターにおいてセンター長を務め、研究者の立場から人類文明史を「遊戯」という観点によって再構築するプロジェクトに取り組んでいる。その視野は有史以前の古代文明から近代社会、現代、そしてシンギュラリティ(技術的特異点)以降といった壮大なスケール感をもつものだ。この度のメディア芸術祭功労賞の贈呈によって、こうしたビジョンの共有が期待できる。(飯田 和敏)