第18回 功労賞

渡辺 泰

アニメーション研究者

プロフィール

1934年、大阪市生まれ。高校1年生の時、学校の団体鑑賞でロードショーのディズニー長編アニメーション『白雪姫』を見て感動。以来、世界のアニメーションの歴史研究を開始。高校卒業後、毎日新聞大阪本社で36年間、新聞制作に従事。友人の山口且訓氏、プラネット映画資料図書館、フィルムコレクターの故杉本五郎氏の協力を得て、77年『日本アニメーション映画史』(共著、有文社)を上梓。ついで89年『劇場アニメ70年史』(共著、アニメージュ編集部編、徳間書店)を出版。以降、非常勤で大学アニメーション学部の「アニメーション概論」で世界のアニメーションの歴史を教える。98年3月から竹内オサム氏編集の『ビランジ』で「戦後劇場アニメ公開史」連載中。また2010年3月より文生書院刊の「『キネマ旬報』昭和前期 復刻版」の総目次集に「日本で上映された外国アニメの歴史」連載中。その他、アニメーション作家・政岡憲三氏の評伝も執筆中。特にディズニーを中心としたアニメーションの歴史を研究課題とする。

贈賞理由

氏ほどアニメーション研究者という呼び方がふさわしい人はいない。現在でこそアニメーション関連の文献は数多くあるが、とにもかくにも入口は渡辺泰氏の『日本アニメーション映画史』である。信頼のおける基礎文献としての価値はもちろん、行間からアニメーションへの愛情がにじみ出てくる。関西在住だが、研究者としての人脈は広く深く全国に及ぶ。後輩研究者への面倒見の良さはいうまでもなく、その豊富な知識からくるアドバイスや資料提供など、映画会社やテレビ局、出版社、行政機関までもがみな、氏を頼りにし恩恵にあずかっている。更なるご活躍を!(高橋 良輔)