19回 文化庁メディア芸術祭

開催概要Outline

  • 募集期間

    2015.7.7(火) - 9.9(水)

  • 主催

    文化庁メディア芸術祭実行委員会

  • 会長

    青柳 正規(文化庁長官)

  • 運営委員

    青木 保(国立新美術館長)

    建畠 晢(多摩美術大学長)

    古川 タク(アニメーション作家)

受賞作品展Exhibition

  • 開催日程

    2016.2.3(水) - 14(日)

  • 贈呈式

    2016.2.2(火)

  • 会場

    国立新美術館

    TOHOシネマズ 六本木ヒルズ

    スーパー・デラックス

    セルバンテス文化センター東京

  • 入場料ト会場

    無料

  • 協力

    TOHOシネマズ 六本木ヒルズ

    スーパー・デラックス

    J-WAVE

    アンスティチュ・フランセ日本

    Peatix

    FileMaker

  • 協賛事業

    きかんしゃトーマスとなかまたち(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館/読売新聞社/美術館連絡協議会)

    東北ITコンセプト福島GameJam2015(NPO法人国際ゲーム開発協会日本)

    ~港で出合う芸術祭~神戸ビエンナーレ2015(神戸ビエンナーレ組織委員会/神戸市)

    ゾンビオペラ『死の舞踏』安野太郎(コンセプト・作曲)×渡邊未帆(ドラマトゥルク)×危口統之(美術)(フェスティバル/トーキョー実行委員会、豊島区/公益財団法人としま未来文化財団/NPO法人アートネットワーク・ジャパン、アーツカウンシル東京・東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団))

    TodaysArt.JP 2015 TOKYO/KOBE(一般社団法人 TodaysArt JAPAN)

    文化庁メディア芸術祭優秀作品上映(長崎県美術館)

    デジタルメディアと日本のグラフィックデザインその過去と未来(東京ミッドタウン・デザインハブ)

    高松メディアアート祭 The Medium of the Sporit -メディアアート紀元前-(高松市/高松メディアアート祭実行委員会)

    第5回「デジタル・ショック」――フュチュラマ(未来展望)(アンスティチュ・フランセ日本)

    GAME ON ~ゲームってなんでおもしろい?~(日本科学未来/フジテレビジョン/角川アスキー総合研究所)

審査委員 / 選考委員Jury / Major

審査委員

アート部門

植松 由佳(国立国際美術館主任研究員)

石田 尚志(画家/映像作家/多摩美術大学准教授)

佐藤 守弘(視覚文化研究者/京都精華大学教授)

中ザワ ヒデキ(美術家)

藤本 由紀夫(アーティスト)

エンターテインメント部門

飯田 和敏(ゲーム作家/立命館大学映像学部教授)

宇川 直宏(現在美術家/京都造形芸術大学教授/DOMMUNE主宰)

工藤 健志(青森県立美術館学芸員)

東泉 一郎(デザイナー/クリエイティブディレクター)

米光 一成(ゲームデザイナー)

アニメーション部門

小出 正志(アニメーション研究者/東京造形大学教授)

大井 文雄(アニメーション作家)

髙橋 良輔(アニメーション監督)

森本 晃司(アニメーション監督)

山村 浩二(アニメーション作家/東京藝術大学大学院教授)

マンガ部門

すがや みつる(マンガ家/京都精華大学教授)

門倉 紫麻(マンガライター)

犬木 加奈子(マンガ家/大阪芸術大学客員教授)

古永 真一(文学者/首都大学東京准教授)

松田 洋子(マンガ家)

受賞作品Award-winning Works

総評General comment

  • 建畠 晢

    多摩美術大学長

    つねに最先端の技術による作品の可能性の探求を紹介するというのがこのフェスティバルの目的のひとつであるからには、表現の成熟を云々するのは語義矛盾ということになるのかもしれない。しかし事実として最近は技術的な新奇性を追い求めるよりも、メディアに対する一種自己批評的な眼差しが作品の多くに見て取れるようになったとは言いうるだろう。やはりそこには四半世紀に近い時間の蓄積が宿っているのである。今回のアート部門の大賞にも、そのことは如実に示されている。CHUNG Waiching Bryanの作品では、結果として生まれたビジュアルなイメージではなく、それを制作するためのいくつかのプログラミング言語やソフトウェア、それも作者がかつて学んだが、もはや使われなくなってしまっているものを振り返り、あたかも“ 詩的テキスト”のように記述した“コンセプチュアルな自伝”が提示されている。メディアに対する批評意識が、そのまま表現に結びついた注目すべき試みであろう。オッペケペー節をパロディー化したエンターテインメント部門の大賞の岸野雄一の「市井にこそもっともメディアとしての可能性を感じる」という発言も、言われてみればたしかに自明の理であるに違いないが、そのことを等閑視していた観客のまなざしを揺さぶるバイタリティに魅せられた。メディア芸術の固定概念からは大いに逸脱しているこうした作品が登場したことを評価したい。

  • 古川 タク

    アニメーション作家

    21世紀も15年めともなると、星新一さんや手塚治虫さんが盛んに作品の題材として取り上げられてきた人間と機械との違いが真面目に論じられる時代になった。人工知能はちょっとしたブームかもしれないし、機械に何ができて何ができないかという論争もますます激しくなるだろう。そんな時代のメディア芸術祭である。アート部門の大賞は過去に付き合った数種類のコンピュータ言語たちを、作者の言葉によると、まるで旧い友人に再会したり、消滅してしまった旧い場所を尋ねて行くような気分で紡いでいく行為からできあがった作品である。エンターテインメント部門の大賞はオッペケペー節の川上音二郎一座が1900年パリ万博にて「電気神」が観客にかけた魔法を解くために旅に出る冒険物語をアナログ+デジタル音楽劇に仕立てあげ、エンターテインメントの未来の可能性を探る。アニメーション部門は文字通りのリゾームの思想を膨大な手描きのアナログとデジタル作業によるアニメイト(生命を紡ぐ)で進化、変容する宇宙をつくりだす。マンガ部門は「描くしか」ないというマンガ家の内なる小宇宙を、物語として見事に吐露してみせる。これが2015年のメディア芸術祭4部門の大賞作品である。功労賞の4名の方々の共通点は、現在もご活躍中のそれぞれの部門での重要なキーパーソンであるということで、偶然にも私が個人的にも少し存じ上げている方々ばかりで、心からお祝いと感謝を申し上げますとともに、引き続き各分野での牽引役をよろしくお願いしたいと思います。