10回 エンターテインメント部門 講評

【作品カテゴリ別講評】Web

コンピュータと通信の高速化、リッチな映像表現など、発展著しいウェブ部門にこそ時代を引っ張る作品が...という期待は、今回は残念ながら満たされなかった。加速度的に進化する技術革新を即座にウェブ表現に生かすのは容易ではないし、広告手法も変化し、コミュニティや携帯との連動など、複雑さも増しているからだろう。審査会でも、一次審査、最終審査ともに意見が分かれ、さまざまな議論が飛びかった。僕はウェブにおいて何が「作品」なのか、その概念を再考し、今後に向けて示す必要性を提言した。そうしたなか、エンターテインメントとしての質の高さやおもしろさはもちろんのこと、技術面での革新性と、優れた内容をもつコンテンツを同等に評価し、インタラクティブという概念を具現化している作品が選に残った。来年はウェブ部門からの大賞を期待したい。

プロフィール
福井 信蔵
クリエイティブディレクター
1959年神戸市生まれ。アパレル出身の経験を生かし、ファッションブランドの広告やブランディングを多数手がけた後、独立。1994年ウェブデザインを独学で開始。2000年、デザイン集団「ビジネス・アーキテクツ」を設立。数々のグローバル企業にWebを軸としたクリエイティブサービスを展開。2005年、同社を退社。2008年、グローバルなコミュニケーション戦略を実装するSG&A設立。1995年ロンドン国際広告賞、1995年GRAPHIS DESIGN、1999年Web Design Award金賞、2003年One Show Gold、2004年One Show Bronze、2005年Communication Artsなど、国際的なデザイン賞を多数受賞。