13回 エンターテインメント部門 講評

この分野は、各メディアの「可能性」と、人を何らかの形で活性化させるエンターテインメント性が掛けあわされ、なおかつ、新しい挑戦があるものが選ばれるべきだと私は考える。ゲーム領域はたしかに、ある種の「成熟」といえるほどの感動的な完成度を持っていたが、そのメディアでなければできないことへの果敢な姿勢が見られた映像やWebに比べ、「可能性を拓こう」という意欲が感じられるものがなかった。『PEPSI NEX 歌おうぜ!キャンペーン』や『INFINITY』は、優れていて最後まで優秀賞に入れたかったことを追記しておきたい。ファインアートの進展が、ある種の堂々巡りの回路に入ってしまっている中で、ますます「メディア」を軸に考える「アートエンターテインメント」は、実に重要な領域になるだろう。それは、「コンテンツ開発」という明確なベクトルを持ちうるし、グローバルな言語性が試されるからだ。ジャンルなどの先入観にとらわれず、ぜひ来年もこの部門への挑戦をしてもらいたい。

プロフィール
後藤 繁雄
京都造形芸術大学教授
1954年、大阪生まれ。編集者、クリエイティブディレクター。京都造形芸術大学教授。アートブック、写真集の編集に多数携わる。東京・恵比寿の写真とグラフィック専門のギャラリーG/P galleryを主催。また2010年6月よりアーツ千代田3331にて新しいギャラリーg3/(トリプルジー)と、96年より続けてきた編集学校「スーパースクール」が一体となったスペースをオープン。11年よりアートフェア「TOKYO FRONTLINE」を5カ年計画でスタートしている。