第13回 エンターテインメント部門 講評
限られた時間(と経費)の中で、ゲームを評価するというのは、もとより困難な作業であり、誰もが納得する手法や基準というのは、おそらくないのだと思う。私は、ゲーム作品の場合"映像ではなくゲームとして"とらえることに注力し、気になったタイトルは、極力"自分でさわってみる"という方針で審査にあたった。ゲームから映像表現の優れたものが選ばれ、ほかは"ゲーム以外"となったのは、あくまでも"結果的に"である。ゲームは、ビジネスとしても文化としても、変革期にある。世代や国によっては"ゲーム"といえば、携帯電話で遊ぶものという認識が当たり前かもしれない。ゲーム市場の主流が、いわゆるゲーム機向けのコンテンツでなくなる可能性すら、否定はできない。SNSが提供する無料ゲームや、狭義のゲームとはいえない"ソーシャル"なコンテンツ。多くのゲームを審査しながら、"応募されないコンテンツ群"のことを考えさせられた年だった。
プロフィール
桝山 寛
1958年生まれ。慶應大学卒業後、ニューヨークで映像制作を学ぶ。帰国後フリーで映像・ゲーム制作に携わる。2001年以降の関心は「マネー」。主な仕事は『信用ゲーム展』(ICC / メディアート展示 / 客員学芸員)、『マネースマート』(角川書店 / 書籍)、『マネースマートtypeR』(シンフォレスト / PCゲーム)、『M.I.Q.』(講談社 / マンガ原作)など。