14回 アニメーション部門 講評

閉塞感と、崖っぷちぎりぎりの情熱

第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の大賞を見事射止めた『四畳半神話大系』を筆頭に、優秀賞を受賞した4作品、奨励賞に入賞した1作品は、すべて力作揃いであった。
どれをとっても、昨今の閉塞感漂う制作状況の中で、崖っぷちぎりぎりの情熱をつなぎ止めながら、1コマ1コマをつくり上げ、それぞれのクリエイターたちが、緻密な構成と表現力を縦横無尽に駆使することで生まれてきた、素晴らしい作品たちである。
今回、惜しくも入賞を逃したほかの推薦作品も、多種多様な作品世界を構築していて、それぞれ異彩を放っていた。

周知のことではあるが、世界に冠たる日本のアニメーションの完成度の高さに、改めて惜しみない声援と拍手を送りたいと思う。
フィルムは永遠に生き続ける!

プロフィール
りんたろう
アニメーション監督
1941年東京都生まれ。『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』など数多くのTVアニメ演出に携わる。長編アニメ『銀河鉄道999』を皮切りに『幻魔大戦』『カムイの剣』『火の鳥 鳳凰編』『劇場版X』『メトロポリス』などの傑作を次々と手掛けた。09年には自身初のフルCGアニメ作品『よなよなペンギン』を公開した。