11回 マンガ部門 講評

【作品カテゴリ別講評】コマ・自主制作・オンラインマンガ・その他

マンガ部門の総数自体は減っているが、これは主にストーリーマンガ部門で出版社が応募作品をより厳選してきた結果と考えてよい。その他は、今回コママンガの応募がやや減ったことを除けば、堅調に応募数が増えており、なにより、昨年激減した海外からの応募が復調し、実際に複数の作品が推薦作品として入選していることは喜ばしい。その結果を受けて今年は多彩な作品が推薦作品として選ばれている。展示を見ていただければ、マンガの形態も実にさまざまになってきていることを実感していただけるだろう。今年はとくにオンライン作品が増えたが、見せ方に工夫のある作品が少なかったことは気になった。携帯コンテンツとしては別の見せ方をしている作品もあるのだから、そのアピールをはっきりとすべきだったのではないだろうか。

プロフィール
藤本 由香里
明治大学准教授
1959年熊本県生まれ。東京大学教養学科卒。明治大学国際日本学部准教授。評論家。筑摩書房の編集者を経て、2008年4月より現職。専攻はマンガ文化論。コミック・女性・セクシュアリティなどを中心に評論活動を展開している。講談社漫画賞、手塚治虫文化賞の選考委員でもある。日本マンガ学会理事。著書に『私の居場所はどこにあるの?―少女マンガが映す心のかたち』『快楽電流』『少女まんが魂』『愛情評論』など。