7回 アニメーション部門 講評

【作品カテゴリ別講評】長編アニメーション

テレビ・OVA 60本、劇場用映画24本、その他10本。つまり短編以外、おもに商業作品になるが、これらを長編として審査した。劇場用作品は、時間と予算と才能を大量に費やした大作がいくつかあって、こられは技術的にどれも完成度が高かった。国内で一定水準以上の映画作品を一年に何本も作れるようになってきていることは嬉しい。
OVA作品は、それ自体が商品なので売れるものを作ることが優先されているのがわかる。その結果、作りは安定しているし絵柄も感じよいのだが似たような美少女ものが多く、突出して目立つ作品が今回はなかった。ビデオシリーズ化されている作品も多いので、1話だけを抜き出すと内容が多少薄めになっているのもいなめない。
技術的には、制作期間の短いテレビではできないが、ビデオならできる、という挑戦をした作品があって、これは技術的には成功していた。
テレビシリーズ作品は、数的にはもっとも応募が多かった。しかし、シリーズものはシリーズ全体を見ないと作品としての評価がむずかしい。それでも、単純にアニメーションとして楽しいと思ったものと、シリーズ全体を通して完成度の高かったもの、計2作品が最終審査まで残ったのはかなりの健闘だと思う。
最後に、低予算ながらスタッフの努力で目的を充分に果たした教育用ビデオ作品があったことをつけ加えたい。この作品は受賞の対象にはならなかったが、最後まで楽しく見られた。

プロフィール
神村 幸子
アニメーター
株式会社サンライズ『シティーハンター』の作画監督、キャラクターデザイン、株式会社東映アニメーション『マシュランボー』の総作画監督、キャラクターデザインなどを務める一方、株式会社ウォルト・ディズニーアニメーションジャパンのアーティスト教育にも携わる。現在、株式会社手塚プロダクションのテレビシリーズ『ブラック・ジャック』の総作画監督とキャラクターデザインを担当している。