第11回 アニメーション部門 講評
説得力や必然性を備えた上質な作品への期待
映像作品というものは観る人の知識と好み、思い入れなどにより評価が大きく左右されるものだが、毎年行なわれている文化庁メディア芸術祭では、その年の審査委員の構成にもよるが、数あるジャンルから順当な作品が選ばれていると思う。商業作品は巨額な資金が投入されるため、話題性や認知度でヒットに結びつける場合もあるが、この審査では作品の内容、クオリティが優先される。今年も芸術性、おもしろさ、内容の新しさ、作家の意気込み、将来性など諸々を考慮に入れての選考となった。見方の違いはあったが、今年も良い選出ができたと思っている。異論がある人や作品を見る機会がなかった方は、この結果をもとに、もう一度受賞作品を見てくださるとうれしい。
プロフィール
鈴木 伸一
アニメーション監督
長崎市生まれ。中学時代から『漫画少年』などに投稿。上京後、1955年横山隆一主宰の「おとぎプロ」に入社しアニメーターの道へ、『ふくすけ』『プラス5万年』などの制作に従事。63年藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐ、石ノ森章太郎、つのだじろう、赤塚不二夫らトキワ荘の仲間と「スタジオゼロ」を設立。TVアニメ『おそ松くん』『パーマン』などを制作。ユネスコ・アジア文化センターの識字教育アニメーション映画『ミナの笑顔』ほか4本をマレーシアのラットと共同監督。現在、文星芸術大学客員教授、杉並アニメーションミュージアム館長。