14回 アニメーション部門 講評

次なる次元への進化に期待

日本のアニメーションの幅広さと進化、アンバランスな現状を改めて俯瞰できた刺激的な審査体験だった。長編ではオリジナル企画が活況を呈し、プロならではの力強い挑戦や、リサーチや演出の緻密さ、レベルの高さが際立った。『四畳半神話大系』はTVシリーズ初の大賞受賞。圧倒的な「語り」の進行とビジュアルの相乗効果は、次なる次元への進化を期待させる。作家個人による類を見ない絵画表現作品『緑子 / MIDORI-KO』も審査で話題になった。こういった短編発の長編作品も評価されていくべき時代に突入したのだ。事前審査を担当した短編は、表現の可能性に挑戦する絶好の機会。にもかかわらず応募数が減少したことは残念。ぜひクリエイターの皆さんには積極的に応募していただきたい。また海外からの応募が増えたことで、評価する側にも独自の視点と成長が期待されていることも感じられた。

プロフィール
伊藤 有壱
クレイを中心に幅広く活動するアニメーションディレクター。