第11回 マンガ部門 講評
作品本位の選考が生みだす新たな可能性
今年の応募作品は283点。そのうち最終審査対象作品として35作品が残った。昨年同様、今年も大賞作品と優秀賞作品が二転三転した。それ程にどの作品がどの賞に選考されても当然と思えた力作が揃った。時間を忘れ上質の作品群を読破するのは、審査員冥利に尽きて最高に幸せを感じた。なかには確かに目を覆いたくなる残酷な描写の作品や巻物風に作画した実験的な作品もあったが、そこには説得できる必然性がやや不足し審査委員全員を理解させるにいたらなかったことは確かであり、残念である。また、今後期待をもてるであろう新しいマンガの表現手段としての自費出版作品、ニューメディアを駆使したオンラインマンガ、デジタルマンガ等に審査委員を唸らせる作品が今回も少なかった。次回に大いに期待したい。
プロフィール
モンキー・パンチ
マンガ家
1937年、北海道生まれ。貸本雑誌『零』で連載をスタートさせマンガ家デビュー。67年『週刊漫画アクション 創刊号』(双葉社)にて『ルパン三世』を連載開始。アメリカン・コミックス調のタッチで人気を呼んだ『ルパン三世』は、テレビ化、映画化を経て、現在に至るまで幅広い年齢層に支持を受けている。