第10回 エンターテインメント部門 講評
既存の技術やアイディアを組み合わせることによって、新しい表現分野を追求する
今年のエンターテイメント部門の作品は、革新的な技術が商品の核となるようなものは見当たらなかった。しかし、こなれた技術を駆使・探求することによって、新しい表現・手法が試みられたものが数多くあり、それらが主に最終審査の対象となった。既知の技術やアイデアをさらに組み合わせることによって、新しい表現分野を追求する姿勢のおもしろさや真摯さが、評価に大きく影響したようだ。なかでも大賞作品『大神』は、日本神話という難しいテーマに正面から取り組み、斬新なCG表現技法で、これまでにないアクション・アドベンチャーのゲーム世界を実現したことを審査員全員が高く評価した。今年は、新しい家庭用ゲーム機が続々と登場する年だが、まだ成果は出ていない。来年はそれらのプラットホーム上で動く、新しい技術を駆使した作品にも期待したい。
プロフィール
鈴木 裕
ゲームプロデューサー
1958年生まれ、岩手県出身。岡山理科大学電子理学部電子科卒業後、1983年セガ・エンタープライズ(現・株式会社セガ)へ入社。2年後、世界初のアーケード用体感ゲーム『ハングオン』を発表。また1993年には、3D-CG対戦格闘ゲーム『バーチャファイター』、1999年に家庭用ゲーム『シェン ムー一章 横須賀』など、話題作を次々と生み出す。現在、株式会社セガクリエイティブオフィサー兼第AMプラス研究開発部長。