第11回 アート部門 講評
文化庁メディア芸術祭においてアート部門が果たす役割
10年という節目を超え、文化庁メディア芸術祭が新たな旅立ちを迎える今年、応募数からみてもアート部門が果たさなければならない役割が大きいことは確かである。また海外からの応募が半数近くを占めるこの状況は、この部門が他の国際的なメディアアートの展覧会と肩を並べる存在となった証だ。さて今年の審査で議論になった点は、その作品が発するメッセージが明確な、そして強い社会性をもつことをよしとするかどうか?であった。これは個々の作品によって議論のポイントが変化するために、明確な答えを出すのは困難かもしれない。しかし、単なる最新技術の博覧会的様相から脱却するためには必要な議論である。そして何よりも必要なのは、そのメッセージがアートとしての視点をもちえているかという点であろう。
プロフィール
原田 大三郎
多摩美術大学教授
1983年、筑波大学大学院芸術学部総合造形コース卒業。坂本龍一、安室奈美恵、小室哲哉、globe、LUNA SEAなどの国内外コンサートツアーやプロモーションビデオの映像演出、また映画のオープニング映像やVFXなどを担当。1993年、NHKスペシャル『驚異の小宇宙・人体2 脳と心』CG監督。1994年、第1回日本芸術文化振興賞受賞、マルチメディアグランプリ '94 MMA会長賞受賞。2001年5月より SHARP『AQUOS』VP制作。現在、多摩美術大学情報デザイン学科教授。