第18回 エンターテインメント部門 新人賞
5D ARCHIVE DEPT.
映像作品
香月 浩一
作品概要
次世代に残したい風景や文化を映像で保存し、伝えるプロジェクト。「伝統的な音」をテーマに福岡・九州朝日放送(KBC)の地域プロモーションTV番組として制作された。博多織の織機が奏でる筬(おさ)打ちの音、簀桁(すけた)で和紙を溜(た)め漉(す)く音、木片を削る鉋(かんな)がけの音―。そんな伝統工芸が奏でる音を収録し、九州発のアイドルグループLinQによるテーマ曲「GARNET」のイントロとして編集し、番組ではアイドルが博多織の工房内でダンスパフォーマンスを繰り広げる。タイトルは、時空間(4D)と音(1D)を合わせた5次元のデータを保存する架空の部署の名称で、未来から来た美少女キャラクターのヒビキ・ガーネットが、音や景色、人々の想いをシュート(撮影)し後世に残すという設定だ。この番組自体が、現代的な感性がミックスされた伝統的な技術の映像アーカイヴとなっている。
贈賞理由
博多織の織機の音、陶土を砕く唐臼(からうす)の音、和紙を漉(す)く音……。それら福岡県内で採掘された、古来より続く伝統文化が奏でる音たちをフィールドレコーディングし、ダンストラックに組み込み、工房内でご当地アイドルとセッションを果たす、奥ゆかしくも異形なる地域振興コンテンツ。これはクールジャパンではなく、トラディショナル・ジャパン・ニューウェイヴなのだ。(宇川 直宏)