原作:ジョージ秋山│プロデューサー:池澤良幸(東映アニメーション株式会社)│監督:さとうけいいち│脚本:高橋郁子│絵コンテ:森下孝三/和田卓也/さとうけいいち|キャラクターデザイン:宝谷幸稔│音楽:上田益/池頼広/住友紀人│CGプロデューサー:今村幸也│CG監督:森田信廣│美術監修:加藤浩│美術監督:栫ヒロツグ│テクニカルリード:鄭載薫│アニメーションリード:ノブタコウイチ│シーンセットアップリード:能沢諭│コンポジットリード:森川万貴|原図作画監督:王丹戈|エフェクト作画監督:金子秀一|製作:高木勝裕/青木建彦/川城和実/木下直哉/大屋高志|企画・監修:森下孝三|企画協力・製作:秋山命|製作委員会:北﨑広実/小松崎貴夫/濵田健二/佐久間大介/繁松徹也|配給:東映
© George Akiyama / ASURA Film Partners

第16回 アニメーション部門 優秀賞

アシュラ

劇場アニメーション

ジョージ 秋山/さとう けいいち

作品概要

舞台は15世紀中期、相次ぐ洪水、旱魃、飢饉、内戦で荒野と化した京都。ケダモノとして産み落とされ、赤ん坊の頃から親に見捨てられた少年「アシュラ」は、自然のなかで生きる術を学んでいった。時には、人を殺めて。そんなアシュラが、少女「若狭」と旅の法師に出会うことで魂を救済され、愛情を覚えていく。しかし、人間性を学んだアシュラが社会で見たものは、人間こそがケダモノであるということだった。やがて僧となり、絶望の果てにいる人々を安寧へと導いた高僧アシュラの少年時代の物語である。今作品は「水彩画を動かす」ことをテーマに、既存のアニメーション技術を発展させたもの。キャラクターはすべてCGで作成され、背景を描き起こしている。これによりカメラを自由に動かせるようになり、アニメーションに新たな臨場感を持ち込んだ。2DとCGIが融合した新しい技術を採用して制作された。

贈賞理由

アニメーションの新たな表現技法への試み─という観点からするなら、今回の応募作品のなかに見るべき作品が例年になく乏しい、というのが偽らざる感想だった。製作者、演出家ともに低迷している昨今の状況と解釈せざるをえない。そのなかにあって本作は、企画それ自体の意欲的な姿勢もさることながら、その表現においてセル画調の画面作りを退け、斬新な手法を駆使して演出することによって、原作の持つ雰囲気を巧みに再現するだけでなく、一本の映画作品としての存在感を十分に示しているものと感じられ、近年の劇場アニメーション作品のなかでは突出しており、顕彰に値すると判断した。