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第11回 アニメーション部門 優秀賞

電脳コイル

テレビアニメーション

磯 光雄 [日本]

作品概要

舞台は近未来202X年の大黒市。子どもたちの間では、電脳世界を楽しめるコンピューター”電脳メガネ”が大流行していた。そんな中、大黒市に転校してきた小此木優子(おこのぎゆうこ)は、不思議な出来事を次々と経験する。

贈賞理由

二次審査過程での得票数も高く、この作品に関しては、誰も入賞に異論を唱えなかった。「クゥ」がなければ大賞であったろうし、本作こそが本年度の大賞であるべきだという人もいるだろう。あるいは、後年にジャンル化してマスターピースとなるかもしれない。そんな“夢”を見させるところが、本作の価値だろう。ディティールが理解できなくても、子どもたちの暮らす世界の緊張、対立、欲望は理解できる。よくできたジュブナイルであることが、本作を“観やすい作品”にしている。よくよく考えれば、スタッフのアプローチはまさにその部分にあったのだろう。本作は「いつかの未来」を言っているのではなく、我々の暮らす「現在世界の孤独や絆」を描いている。 この種の物語を構想していたのは、本作のスタッフだけではあるまい。「やられた」と思った同業者は多いだろう。