第25回 エンターテインメント部門 優秀賞
サイバーパンク2077
ゲーム
『サイバーパンク2077』開発チーム[ポーランド]
作品概要
近未来の都市を舞台に、自分の姿や武器をカスタマイズしながら複雑な物語を追うアクションアドベンチャーゲーム。ある謎めいたインプラント(脳に埋め込まれたチップ)を追うことになった主人公V【ルビ:ヴィー】。プレイヤーはこのVを操り、巨大都市「ナイトシティ」を舞台に、さまざまな背景を持つキャラクターたちの思惑に揉まれながら、数々の仕事をこなしていく。稼いだ報酬で武器や車を調達したり、サイバーウェアと呼ばれるインプラントを体に装着することで、身体能力を向上したりもできる。また、豊富な選択肢のなかから奇抜なファッションを堪能することもでき、オプションを組み合わせることにより、近未来の都市生活者である主人公の外見だけでなく能力強化までを、高い自由度で行うことが可能。華やかなダウンタウンからギャングの巣窟まで、広大で入り組んだ都市を駆け回りながら、プレイヤーの選択と行動によって変化していく物語を楽しむことができる大作。
贈賞理由
『ブレードランナー』や『AKIRA』など、一時代を築いたSFの一ジャンルの名を冠する本作は、1980年代のテーブルトークRPG『Cyberpunk』シリーズが原作。サイバーパンクの特徴である身体改造。その一部がテクノロジーとして可能となり、VR、ARも含めた身体拡張が一般的となった現在。その世界観をリアルに体感できる主観視点のオープンワールドのRPGとして生まれ変わった本作は、情報公開とともに世界でも評判となり、注目を集めた。開発は『ウィッチャー』シリーズでその名を轟かせたポーランドのCD Projekt RED。ストイックにリアルを追求するスタイルの彼らが、中世ファンタジーから、現在を中心に時間軸を反転させ、未来を舞台にして選んだテーマ、サイバーパンク。どの時代にも存在する人間の本能、欲求、それによる格差、差別。それらを真正面から捉えた本作は、プレイする我々に、まさに今の命を考えさせる。(時田 貴司)