第14回 エンターテインメント部門 優秀賞
無限回廊 光と影の箱
ゲーム
鈴田 健/藤木 淳/ 鈴木 達也
作品概要
PlayStation®Move発、光と影をテーマにつくられたアクションパズルゲーム。懐中電灯に見立てたPS Moveモーションコントローラで、ゲーム画面に映る影の形を自由自在に操ることができる。想像力を駆使して影の形を変え、さまざまな仕掛けや「シャドウアート」を見つけながら、影の上を歩く主人公をゴールへと導く。懐かしくも、新しい影絵遊び。
贈賞理由
光という入力デバイスからエンターテインメントへの飛躍
3D表現の特徴を逆手に取り、影というメタファーで立体を2Dパズルとして展開した作品。同様のモチーフの作品は過去いくつかメディア芸術祭に応募があったが、新しい入力デバイスを「光源」として用いることで、これまでにない立体表現を試みている。
このゲームのベースとなる技術は、本作の制作者が開発した「OLE Coordinate System」。現実には存在しえない不思議な立体歩道を描画できるソフトだ。そのソフトから市販ゲームへと展開され、これまでも野心的なゲームが同じ制作者によってつくられてきた。しかし本作で注目すべき点は、過去作での実験的な傾向から脱し、エンターテインメント性の高い作品として完成している点だろう。ゲームクリエイターとしての成熟を経て、今後の、エンターテインメントとメディアアートのさらなる融合を期待させられる。