第24回 エンターテインメント部門 優秀賞

劇団ノーミーツ

パフォーマンス

劇団ノーミーツ(代表:広屋 佑規)[日本]

作品概要

劇団ノーミーツは、稽古から上演まで「⼀度も会わずに」フルリモートで演劇を制作するオンライン劇団。「NO密で濃密なひとときを」をテーマに、新型コロナウイルス感染症の流行を受け2020年4月7日に出された緊急事態宣言の2日後に結成。メンバーは20代の映画・演劇・イベント・広告・エンジニアリング等に関わるクリエイターを中心に構成され、発⾜当初にZoomを活⽤した140秒の短編演劇をTwitter上に複数投稿すると、再生数は計3,000万回を超えた。5⽉以降、生配信・有料の長編公演を上演し、延べ1万人以上の視聴者を獲得。一度も会わずに演劇をつくり上げる新しい演劇表現を実践し、苦しい状況に置かれるエンターテインメント業界で新しい活動領域を切り開いた。第2回公演以降、遠隔でのカメラワークや照明演出、観客による選択によって物語が変化する演劇に挑戦するなど、オンライン表現の可能性も追求し続けている。

贈賞理由

新型コロナウイルスの世界的な流行は、我々の生活に大きく影を落とした。どうやって生きていけばよいのか。何を楽しみに暮らせばいいか。立ち上がった大きな疑問符を、どう作品に取り込むか。世界中のクリエイターが頭を悩ませていたなか、彼らの動きは非常に早かった。学校も、職場も、リモート環境が前提となった。美術館へ遊びにいったり、劇場に立ち寄ったり。当たり前だったことが、コロナ禍では非日常となった。その大前提をいち早く取り込んで、エンターテインメントの形でタイムラインに出力したのが、劇団ノーミーツだった。劇場の代わりに、リモート環境そのものを舞台装置とした。まだお手本が存在しない。彼らは、その手法ごと物語を発明したのだ。私のような40代からすると、リモートで交わされる会話は畏まった仕事に限定される。20代、30代の、リモートで普通に遊ぶ感覚が大いに作品に投影されている。それが、何だかとても頼もしく思えた。(川田 十夢)