第13回 アート部門 大賞
growth modeling device
インスタレーション
David BOWEN [米国]
作品概要
玉ねぎの地上部分の成長の度合いに基づいた動的インスタレーション。このシステムは観察者と創造者の役割を果たし、変わりゆく生きた対象物を限定的かつ機械的に投影したオブジェを創りだす。単純なレーザーの目を通して、有機的に活動しているものを実を結ばない複製品に変え、自然を工業素材で再生しようとしている。
贈賞理由
18世紀以来、芸術表現はまず時間芸術か空間芸術かで弁別され、それぞれのメディアの特質によってジャンル区分されてきたが、20世紀になると時間や空間という客観的尺度こそメディアによって組織された人間的事実にすぎないことが自覚されるようになった(ここが20世紀の思想と芸術の出発点である)。これを継承し、現在メディアアートと呼ばれるものの重要な可能性は、時間と空間の再組織、定義にこそ関わっている。 David BOWENの『growth modeling device』は成長するタマネギを1日ごとに立体像として複製する機械だが、本来generationとは時間的持続から空間的分裂(複数化)への置き換えを意味していた(時間は空間的分裂が導くひとつの解に他ならない)。時間の形象化は彫刻や映像という表現メディア史を貫く理論的核心でもあった。この作品に示されているのは時空間の生成装置としてのメディアへの深い洞察である。