第15回 エンターテインメント部門 新人賞
Hietsuki Bushi
ミュージックビデオ
Omodaka
作品概要
寺田創一による宮崎県の民謡『ひえつき節』をモチーフとした楽曲と、ひらのりょうによる色彩豊かな手描きのアニメーションが融合したOmodakaのミュージックビデオ。民謡歌手・金沢明子の唄う独特の節とビートが刻まれた楽曲に合わせて、「農業と宇宙」をテーマとしたビジュアルで時代や空間を超えた幻想的な心象イメージを表現。ノスタルジーと斬新さが同居した不可思議な世界が生まれている。
作品概要
農業から宇宙まで、民謡が綴る豊穣なイメージ世界
多数の応募があったミュージックビデオ作品の中でも、特に新鮮な魅力をもって評価されたのがOmodakaの『Hietsuki Bushi』である。この原曲となった『ひえつき節』は収穫したヒエを食用につく際の労働を癒す仕事唄で、昭和という時代を映し出す戦後の代表的な民謡といえる。本作品では、その世界と、思春期のラブレターを渡す甘酸っぱいラブストーリーというミスマッチな関係を強引に同じ土俵にのせて、パラレルに不思議なストーリーが展開する。ライオン風のキャラと農作業をする農婦がぶつかったり、多次元の世界を行き来しながらキャラクターたちが集結し、男女的キャラの世界に戻ってくるなど、何度も繰り返し見たくなる仕掛けにはまっていく。この複雑な構成を描き切った若い才能と、勇気をもってこの才能を見出し、果敢にテクノ民謡と斬新な映像の融合を目指すOmodakaを高く評価したい。