第17回 功労賞
柏原 満
音響効果
プロフィール
1933年、高知県生まれ。映画の世界に憧れ上京、日本大学芸術学部映画学科からアオイスタジオに入社した後、大野松雄や大橋鉄矢とともに『鉄腕アトム』の音響効果に携わった経験をきっかけに、音作りの面白さを知る。その後フリーの音響効果マンとして独立。制作会社、監督、音響関係者、そして作品に恵まれる中、数多くのアニメーション映画の音響効果を手掛ける。手作りの精神、遊び心、感動する心を大切に、各作品の音の色を考え、常に作品に合った最良の効果音を作る努力を重ねてきた。音響機材の少ない時代から、その不便さを補うために試行錯誤を繰り返し、多岐にわたる音源を生み出した。デジタル作業の便利さや効果ライブラリーなどに頼らず、職人としてのプライドを持ち、今日に至るまで縁の下の力持ちとして仕事を続けている。主な作品に、『宇宙戦艦ヤマト復活篇 ディレクターズカット版』(2012年)、映画『ドラえもん のび太の南海大冒険』(98年)、『平成狸合戦ぽんぽこ』(94年)、『オネアミスの翼 王立宇宙軍』(87年)、『銀河鉄道の夜』(85年)、映画『ドラえもん のび太の魔界大冒険』(84年)、『ユニコ 魔法の島へ』(83年)、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』(83年)、『象のない動物園』(82年)、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78年)、『キタキツネ物語』(78年)、『サザエさん』『笑ゥせぇるすまん』など。
贈賞理由
柏原満さん、通称「バラさん」は、サウンドディレクターとして日本のアニメーションを黎明期から牽引してきてくれた人だ。放映50周年を迎えた『鉄腕アトム』から『千夜一夜物語』『宇宙戦艦ヤマト』などの劇場アニメーション、そして長寿番組『サザエさん』―。その仕事の幅の広さにも驚く。拙監督作品である宮沢賢治原作の劇場アニメーション『銀河鉄道の夜』では、細野晴臣とともに柏原サウンドが作品の生命感を伝えてくれた。できるだけ多くの「柏原サウンド」を、日本のアニメーションのためにも残して欲しいと願っている。(杉井 ギサブロー)