第24回 功労賞
草原 真知子
メディアアート・映像文化史研究者/キュレーター
プロフィール
1948年、東京都生まれ。1980年代前半からキュレーターとして展示、講演、執筆、教育を通じてメディアアートの発展と国際交流に尽力してきた。つくば科学万博、世界デザイン博覧会、21世紀☆みらい体験博などの展示企画、東京都写真美術館およびNTT インターコミュニケーション・センター [ICC]の開館準備、CGアーティストの自主団体Digital Imageの設立、『Computer Graphics Anthology』(文献社、1989)などの出版、IMAGINAやベルリン国際映画祭など海外での日本の作品の展示、アルス・エレクトロニカ・フェスティバルほか国内外の公募展の審査など活動は多岐にわたり、海外での講演、講義、出版も数多い。人工生命やデバイスアートなどメディアアートの分野や写し絵、幻燈など日本の映像文化史の論文は各国で大学教育に使われている。東京工芸大学、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、早稲田大学などで教育にあたり後進を育てた。早稲田大学名誉教授、博士(工学)。
贈賞理由
日本はもとより世界のメディアアートの発展に多大な貢献をされてきた。氏のメディア研究が有する広範な歴史的・文化的射程、そして超領域的活動(論文掲載誌の多様性はその証左)、さらにはその鋭い現場感覚。すべて範とすべきものである。なかでも筑波大学の岩田洋夫先生たちと提唱された「デバイスアート」の考えは、メディアアートを日本古来の文化に接続しただけでなく、プレイフルなアートが商品として日常に浸透し社会を変える力を持つことを高らかに示した。多くの若い才能を世界に送り出したことも記しておきたい。(秋庭 史典)